両親が70代に入って感じた「あれっ?」



両親が70代に入ってから老いを目の当たりにする機会が増えた。

私は40歳を過ぎてからのいわゆる高齢出産で産まれた。なので、私の父と母は同世代の友人達の親と比べると10歳前後年上になる。

だから周りより早く親の老いに直面することは、ある程度意識してはいた。

意識していた"つもり"だった。実際は、目の前に突きつけられるまで本当に認識できなかったのだ。

あれ?こんなに小さかったっけ?

私は親とは離れて暮らしている。ある時末年始で帰省した際、空港まで迎えに来てくれた父と母を見て、「あれっ?」と思った。

「こんなに小さかったっけ?」
母は細身タイプで背は私と変わらないくらい。でも横に立った時になんとなく小さい感じがするのだ。

父は母よりも顕著に感じられた。父は背は低いがわりとがっしりした体格。それが明らかに細くなっている。

父は糖尿病の傾向があるため、医者のすすめで緩やかな糖質制限をしている。その結果として少し痩せた。だが、横だけでなく縦にも小さくなっていないか?そんな気がするのだ。

よく考えてみれば父も母も70代。かなり高齢になってきたわけだ。この瞬間が、私にとって両親の老いを強く実感した最初の体験となった。やはり60代とは全然違う、新たなステージに入ったと思い知らされた。

あれ?こんなに体力なかったっけ?

私の実家は地方の住宅街にある。住宅街の中に田畑が点在している感じだ。その田畑も徐々に開発され、ほとんどが家やマンションになった。

通っていた小学校の周りが開発でかなり変わっていると母がいうので、散歩がてら見に行く事にした。

この辺りの地域は小高くなっていて、小学校周辺にはちょっとした坂道がある。その坂道に差し掛かったあたりで、母の歩くペースが急に落ちた。

振り返って母の様子を見ると、ハァハァと息を切らせている。坂といっても山道を登る訳ではない。早歩きしていたわけでもない。ゆっくりお散歩でこんなに息切れすることは以前はなかったように思う。

少し休憩をし、母のペースに合わせてゆっくり歩いた。母は元々運動が得意な方ではない。だが、ここまで体力がなかっただろうかと心配になった。

あれ?こんなに機械オンチだったっけ?

父は本が好きだ。父の部屋には大きな本棚があり、たくさんの本が並んでいる。

時間ができたのでまた読書でもしようと思ったのか、ネットで本を買いたいと言い出した。時間のあるときにいろいろ調べて良いのがあったら買いたいから、ネットショッピングのやり方を教えて欲しいと言うのだ。

早速父のパソコンの前でネットショッピング講座が始まった。楽天市場で商品を検索する方法、買い物カゴに入れて購入する方法を、父に実際に操作してもらいながら説明した。

その後また実家へ帰ってきた時に、父がまたネットショッピングの方法を教えて欲しいと言ってきた。時間が経ったらわからなくなってしまったという。

そこで今度は実際に操作してもらう、プラス操作方法のメモを作った。ところが、またその次に帰省してみるとまたやり方を教えて欲しいという。

父はパソコンを使って年賀状を作ったりしていたこともあるし、ワードやエクセルといったツールも使うことができる。だからネットショッピングもちょっと慣れればすぐ使いこなすだろうと思っていた。

ところが結果は全くの予想外。使い慣れているパソコンだが、目的の商品を見つけ出して購入するという操作は父にとって大きな壁のようだ。

目の当たりにして気づいた両親の老い

両親の老いを強く感じた時のことを思い出して3つ書いてみた。どれも命に関わるような大問題ではないし、ちょっとしたことなのだがドキリとさせられるものがある。

両親が歳を取ってきたという実感が湧いて、何かしなければならないような気がする。だが、ここからどう動けばいいか、いまいちわからないというのが正直なところだ。

縁起でもないが両親と一緒に過ごせる時間は着実に少なくなってきている。コロナウイルスの感染状況など注意しながらではあるが、できるだけ実家に顔を出して一緒に過ごす時間を増やすところから始めていこうと思う。

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